• 2016.10.30
  •   さらば、クロちゃん






    昨晩、10代の頃から飼っていた、
    猫の永吉のことを思い出していた。



    高校を卒業して間もない頃、道路わきに、
    段ボールに入れられて捨てられていた、
    生まれて間もない仔猫を連れて帰った。



    その後長い年月、永吉は家族の一員だった。



    夜中に、もう何十年も前に死んだ永吉のことを
    思い出し、なぜか号泣してしまった。



    ヤバい。



    野良猫のクロちゃんといい、永吉といい、
    やたらと頭に浮かんできてしまう。




    朝になり、再度喫茶店のおばちゃんと
    クロちゃんの行く末について話をしに行った。



    おばちゃんは優しい人で、大の猫好きなので
    せっせと世話を焼いて朝晩エサを与えているけれど、
    これから厳しくなる冬や、避妊手術のことは
    あまり考えていないようで、



    「うちの家の納屋にやってくる野良も2度、
    子どもを産んだけど、み~んな鳥に食べられてしまったわ」



    なんて恐ろしいことを言う。



    クロちゃんも、このまま近所でエサを与え続けるなら、
    避妊手術をしてやることを考えなきゃいけない。
    その時は、折半で費用を出すのはどうでしょう・・・
    そんな話をしてみた。



    するとおばちゃん、



    「そういえば何日か前の新聞に、
    高校生が犬猫の保護活動をしてるって
    書いてあったわ。」



    地元の新聞を購読していないので知らなかった。



    すぐにおばちゃんが2日前の新聞を持ってきた。



    「これこれ、この記事。」


    クロちゃん03



    読むと、宍道高校の3年生の植田さんという女の子が、
    犬猫の殺処分ゼロを目指して、保護と譲渡の活動を始めたとある。



    「これ、ちょっと話だけでも聞きに行ってみますわ。」



    おばちゃんにそう告げて、
    すぐに会場となっている朝日公民館へ。



    と、その前に町内にある交番へ行き、
    クロちゃんの捜索の届け出がないか確認に行った。



    交番に入るなり、2月にディオを保護した際に
    担当してくれたお巡りさんが、



    「あなた、以前、スーパーの前で猫を
    拾って保護された人ですよね?」



    覚えてくれていたようだ。


    今回、またも野良猫が・・・と説明した。
    やはり、飼い主からの届け出はない。



    「可哀想だけど、妊娠して赤ちゃんを産む前に、
    保健所に連れて行った方が、今後のことを
    考えたらベストだと思うねぇ・・・・・・」



    おまわりさんの言う意味は・・・言うまでもない。



    新聞記事のことを話し、ダメ元で話だけでも
    聞いてきます・・・と告げて交番を後にした。




    譲渡会の会場ですぐに植田さんと会うことができ、
    早速、クロちゃんの現状を説明した。


    クロちゃん06




    すると、なんと、




    「こちらで保護することができますよ。」




    予想外の言葉だった。




    譲渡会なのだから、当然、自分たちの会で
    保護している犬猫を、一般の人に引き取って
    もらう・・・というのが目的のはず。



    私は、避妊手術や里親探しのアドバイスが
    聞ければいい・・・と、大きな望みは持たずに行ったのだった。



    「ただ、条件があって、引き受けるにあたって
    獣医さんに検査をしてもらいます。病気であれば、
    治療や薬の費用がかかりますので、あらかじめ
    病院代金をいただきます。もし、差額が出て
    受け取ったお金が余れば、動物たちのエサ代として、
    頂きますが、それでもよろしかったら・・・。」




    クロちゃんと出会ったのも何かの縁。
    クロちゃんを保護団体に丸投げするつもりもなかった。

    縁あって我が家の近くに数週間も住みついていたクロちゃん、
    費用負担をすることは厭わない。当然のこと。




    ありがたくて、涙ボロボロ。




    早速自宅に帰り、借りて帰ったケージにクロちゃんを入れ、
    喫茶店のおばちゃんに事情を説明し、気持ちを確認した。



    クロちゃん04




    「今から連れて行きますが、一緒に行きますか?
    最後にひと目、クロちゃんに会いませんか?」



    するとおばちゃん、



    「ダメ。顔を見たら涙が出てしまう。
    会ったら悲しくなるから、会わない。
    ごめんよ、私がエサをあげなかったら
    よかったかもしれんねぇ・・・。」



    そう言いながら、おばちゃんの目はすでに真っ赤。



    2人して泣いた。



    おばちゃんも私も、室内で飼ってあげることができない。
    かと言って、見捨てることもできない。
    外でエサをやり続けるには限界がある。



    新しい飼い主を見つけてやること。
    これが最善の策であり、私たちにできることはそれしかない。




    誰かが捨てた猫。


    どんな事情だか知らないけれど、
    野良にさせれば生き延びられると思ってるのだろうか。
    自分の視野から遠ざければ、罪悪感が消えるのだろうか。




    平気で犬猫を捨てる人間たちは後を絶たない。



    生まれたばかりの赤ちゃんと親が一緒に
    捨てられていたのだと、譲渡会・会場には
    生後間もない猫たちもいた。



    クロちゃん05





    飼っていた犬や猫が飼えなくなったから引き取って・・・と
    彼女のところへ持ってくる飼い主もいるという。



    そういう場合は、私が払った金額よりも多くを頂くこととし、
    2度と動物を飼いません・・・と誓約書を書いてもらうのだという。




    若者スタッフの中に、中年の女性がいて、
    笑顔で来場者を案内していた。



    「植田さんのお母さんですか?」


    そう尋ねると、そうだと言う。



    動物たちにかかる費用が大変なのではと聞くと、
    現在、お母さんが娘をサポートし、お金を出しているという。



    「娘が生きがいとしてやっていることですから。」



    クロちゃんの医療費だけでは申し訳ない。

    当面のクロちゃんのエサ代に・・・と、
    大した額ではないけれどお渡しした。



    クロちゃん、会場に着いた途端、来場者が足を止め、
    クロちゃんのケージの回りに集まる。



    クロちゃん07





    「かわいぃ顔~!」


    「人慣れしてる~。」


    「目がまん丸だ~!」



    すでに人気者。




    犬や猫の命の重さを考えず捨てる人がいる一方で、
    こうした高校生もいる。本当に頭が下がる思い。



    彼女がこうした活動に携わるきっかけとなったのは、
    自身が精神的に辛かった時期に、捨て猫が寄って来て、
    癒されたのだという。その後、犬猫の殺処分の現状を知り、
    自分を助けてくれた動物への恩返しとして、
    寝る間も惜しんで勉強に励み、県内で初の
    日本セラピードッグ協会の認定試験に合格した。




    捨てられていたディオを我が家に迎え入れ、
    確かにディオは、安心できる日常を手に入れたと思う。


    けれど、むしろ癒された日々を送っているのは私たち人間。
    ディオが来たことで、ただ彼がいるだけで皆、笑顔になる。



    クロちゃんとは一緒に住めなかったけれど、
    クロちゃんもきっと、誰かの癒しの存在になると思う。




    「大丈夫です。あの子らは県内で里親が見つからなかったら、
    県外にもたくさんネットワークを持ってるので、
    必ず引き取り手を見つけますから。」




    帰り際、お母さんがそう言ってくれた。



    それを聞いてまた泣いた。



    なんなんだ、今日は3回も泣いてしまった。
    歳をとったもんだわ。すぐに涙腺が緩む。




    さらば、クロちゃん。幸せになれよ!




    ☆動物保護団体PONT 植田さんのブログはこちら

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    No title

    突然失礼なコメントを投稿してしまい、ずっと後悔していました。
    偉そうに自分の体験を語るなら、駆け付けて一緒に解決策を練るべきだ、と反省しました。
    けれど住所もお名前も分かっておらず、ネットにも詳しくない私、どうしたものかと悩んでいるうちに時間が過ぎてしまいました。

    本当に有難うございました。出来そうで出来ないことです。
    お隣の喫茶店のおばさまにも宜しくお伝え下さい。

    とんでもない

    ネコおばさん、

    ご丁寧にありがとうございます。

    後悔していらっしゃったとのこと、どうぞそんなお気持ちになられないように、と思います。

    まず、こうして私の私的な日常を書き連ねているブログを読んでくださっているということをありがたく思いますし、その上、コメントを頂けるというのは、書き手として大変うれしいことです。

    最初に頂いたコメントも、偉そうになどと受け取っておりませんし、私自身が、このブログを過去にさかのぼって読んでいただくとわかりますが(笑)、好き放題書いておりますし、人間というのは様々な考えがあるから面白いと思っています。たとえそれが自分と異なる考えであっても、それは当然だと受け止めていますし、また、受け止めるべきだと常に自分の指針にしたいと思っています。

    ましてやネコおばさんの前回の経験談は参考になるお話でした。

    野良猫に対する考え自体もさまざまで、他の地域にあるような「地域ネコ」という考えがあったり、行政が去勢や避妊に助成金を出すなと、進歩的な考えの地域であれば理想ですが、残念ながら島根・松江ではこうしたボランティアさんが尽力しているのが現状。できる人が自分のできることをするしかないですよね。

    身の回りに集まる人であったり出来事はすべて意味があると思うので、せめて自分に関わりのあったネコに関しては、微力ながら・・・ということで今回の状況となりました。

    なので私も威張ったことはなにも言えません。あくまで今回はこのようにできた・・・と言うだけで、視界に入っていない野良猫たちの命までは救えませんし。

    コメントいただき、大変うれしかったです。今後ともお時間のある時に覗いていただければ幸いです。

    ありがとうございました。

    No title

    お返事、有難うございました。
    優しいお言葉にホッとしています。

    でも、31日のブログの最初の7行、
    お気持ち、とてもよく分かります。
    ゴメンなさい、です。

    クロちゃんの幸せを、心からお祈り申し上げます。

    ブログ、いつも楽しく読ませて頂いています。
    名乗れないのは、私が機械オンチな為で、決して怪しい者ではありません。タダの猫好きな中年女です!!

    感激です!

    ネコおばさん、

    本日、ウォーターワークスさんから連絡が入り、行ってきました。全く想像もしていなかったことに、感激しております。

    お心遣い、本当にありがとうございます。とってもかわいく、目にした途端にまたウルウルとしてしまいました。よく似ています(笑)。

    このジジを側に置くことで、短いながらも日常を共にしたクロちゃんをずっと忘れることなく過ごすことができます。

    ネコおばさんのやさしさに感謝して、ありがたくいただきます。喫茶店のおばちゃんにも明日、届けさせていただきます。

    本来なら直接お会いしてお礼を言うべきですが、連絡先もわからず、この場を借りてお礼申し上げます。

    アクセサリーもご購入いただいたとのこと、ありがとうございます。

    かわいいジジのぬいぐるみですが、ブログに掲載させていただけないでしょうか。

    ネコおばさんがこのコメント欄を見てくださることを願っております。

    ご縁に感謝です。ありがとうございました。

    No title

    私の勝手な衝動を、快く受け入れて下さり、
    本当に有難うございました。
    ウオーターワークスさんにも、お手数をおかけしました。
    ブログに掲載、身に余るお言葉で恐縮してしまいました。
    でも、でもこれはやっばり、
    私達の小さな秘密、にして下さい。

    いつも、ブログでステキなアクセサリーだなぁ、と拝見していました。
    ゲット出来て感激です。大切にいたします。

    管理人のみ閲覧できます

    このコメントは管理人のみ閲覧できます

    よかったです

    ネコおばさん、

    コメント欄、見ていただけてよかったです。

    今日、喫茶店のおばさんに渡してきました。大変喜ばれ、
    くれぐれもよろしくとのことでした。おばさんがぬいぐるみを
    抱えているところも写真に撮ってあります。

    もし、ご迷惑でなければ、このコメント欄は、
    「管理者にだけ表示を許可する」
    という欄にチェックを入れると、他の方から閲覧できない
    私だけの管理画面がでます。そこにメールのアドレスを
    教えていただければ、写真もお送りできます。

    ですが、個人情報ですのでもちろん、記載されなくても
    全く構いません。今まで通り、このコメント欄での
    やりとりができれば嬉しいです。

    そして、しつこくてすみませんが(笑)、ことの詳細は書かずに、
    さらっとジジを紹介できないものでしょうか。写真と、
    嬉しい頂き物・・・として。

    これももちろん、やはりNOでも全く構いません。ダメ元で
    お聞きしてます(笑)。なんといってもほんとにかわいい
    ぬいぐるみなので。

    喫茶店のおばちゃんもかわいい、かわいいの連発でした。
    お店のカウンター後ろの棚に飾られるそうです。

    ありがとうございました。

    No title

    本当に本当に有難うございます。
    私としては、色々細かく自分の体験や考えを述べ、
    どうしても我慢できずささやかな贈り物をしてしまった経緯をご説明したかったのですが、
    それはなかなかに大変な作業になりそうで、失礼してしまいました。

    サラリと記して頂けるのならアリガタキシアワセです(笑)

    喫茶店のおばさまにもお渡し頂き有難うございました。

    長文になってしまいました(笑)。

    ネコおばさん、

    ご了承いただき、ありがとうございました。

    早速ブログを更新いたしました。
    書いているうちに長々となってしまいましたが、
    お許しください。

    お心遣い、本当にありがとうございました。

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    My Serendipity

    Author:My Serendipity
    英語講師

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